「起業したいんです!」と相談に来る人に動機を聞くと、かなりの割合で「私、会社員に向いてないんです」と答えます。こういう人は、高い確率で失敗します。
「会社という組織に向いてない=起業に向いている」というのは、短絡的な考え方です。そんなに単純なものではありません。もう少し幅広く考える必要があります。
組織に向いていないのは「その人自身の問題」です。適応力がないとか協調性に欠けるとか、他人とうまくやっていけないとか、色々とありますが、それはそれで仕方ありません。が、そういう人が起業して一人でやっていけるかというと、それは別の問題です。
起業して一人でやっていくには、ありとあらゆる能力が必要です。
・お客様がお金を払ってでも買いたいと思えるような、商品やサービスを生み出す力
・それを売る為の方法を考える力
・リサーチ能力
・対人スキル
・お会の管理能力
・税金の知識
・行動力
・仕事が無いつらい時期を乗り越える強い意志と忍耐力
これだけ揃って、ようやく「スタートライン」です。一つでもあればどこかしらで雇ってもらえますが、起業してそれをずっと続けていくとなると、全てあった方が良いです。
もちろん、全部を自分でやるのではなく、他人に任せるというやり方もあります。その場合でも、適した人を探し出し、その相手とうまく関係性を築いていくという能力は必要です。
私は以前からずっと言っていますが、日本人の「99%」は起業に向いていません。義務教育の時点からそのように制度が設計されていないからです。いかに組織でうまくやっていく人材を育てるかを前提にしています。だから、それに馴染めない人は「ドロップアウト」するのです。
成功している起業家は、学校教育に馴染めなかった人が多いです。中卒や高校中退、独学で勉強した人の比率が高いです。そんな中で何かの分野に抜群に才能があり「出来るかも」と思って実際に行動に移した人が成功したのです。
もう一度考えてみましょう。あなたは単に能力が低いだけかもしれません。人間関係の付き合いが苦手なだけかもしれません。それを「組織に向いてない」と言ってごまかしているだけかもしれません。
それと起業は全く別の問題です。起業したからといって、問題が解決するとは限りません。単に売れないフリーランスが一人増えるだけです。そういう人を山のように見てきました。もう見たくないのです。今一度、よく考えてみましょう。