「なかなか利益が増えないんです」と相談に来る店舗経営者が多いです。そういう人に共通しているのは「お客様にサービスし過ぎ」ということです。
日本では長年「お客様は神様です」という認識が浸透しています。「お客様の為なら」という思いが強く、少しでもサービスしよう、安く提供しようという意識が強いあまり、経営を圧迫しているというケースが多いです。
田舎の食堂や、代々、土地と建物を継承している家族経営なら、家賃や人件費がかからないので、安く提供することは可能ですが、あなたがやっている商売の形態は、根本的に違います。
月々の家賃は発生するし、水道光熱費等の固定費もかかります。それにプラスして自分の給料も稼がないといけません。お客様にサービスする前に、まずは自分のことを考えないといけません。
「なぜ、安くするのですか?」と聞くと、決まって返ってくるのが「ライバル店もこのくらいの値段でやっているから」です。そのライバル店は大手チェーンだったりします。大手なら店舗数が多くあるので、一店舗あたりの値段が安くても、全体でカバーできますが、個人店ではそうはいきません。誰もカバーしてくれません。
個人店が大手に勝とうと思うなら、そもそも「同じ土俵」で戦ってはいけません。大手が面倒くさがってやりたがらないような、手間のかかる細かいことをやれば、勝機は見えてきます。そこで、しっかりとした「対価」を得れば、売上は伸び、経営は安定します。
大手がやっているような「割引クーポン」もやめましょう。安さで集めた人は、安さにしか反応しません。他にもっと安いお店が見つかれば、すぐにそちらに流れるので、なかなか定着しません。そういう人とは「積極的に」縁を切るべきです。
それと、これがいちばん大事なのですが「お客様に商品やサービスを提供して、それなりのお金を頂く」ということ自体に、抵抗感がある人が多いように感じます。「そんなにもらって良いのかな?」とか「ちょっと高過ぎないかな?」という考えが先に来てしまい、思い切った価格設定ができないというパターンです。
儲かっているお店の経営者は、その点、躊躇がありません。「高くて何が悪いの?」「ビジネスなんだから当然でしょ?」というスタンスです。はっきり言って、この違いは、かなり大きいです。
なるべくコストをかけずに、良いものを買いやすい値段で提供する。文字にすると美してくて理想的に見えますが、それを追い求めることによって、あなた自身が苦しんでしまうのは「本末転倒」です。
いくら頑張っても、お客様にサービスしても儲からない人は、根本的に考え方を変える必要があります。そうしない限り、いつまでも儲からないし、忙しいままです。最終的には「過労」で倒れ、手元にはお金も残りません。そうなる前に、行動に移しましょう。