「富裕層向けにビジネスを始めたいので、アドバイスをお願いします」という相談を、50代の方から受けました。注意点と成功するコツについて、以下のように回答しました。
- 注意点 ①
富裕層ビジネスで最も大事なのは、富裕層との「接点」の有無です。どんな商品やサービスを用意しようとも、そもそも接点が無ければ、売りようがありません。いかにして富裕層と接触し、必要とされ、買ってもらえるか。その「戦略」がないと、うまくいきません。
高級マンションの販売会社は、高所得者のリストを手に入れ、そこに向けてDMを送ったり、高級住宅街でチラシを投函したりします。保険会社は、一軒ずつ訪問したりもします。個人レベルでそこまで出来るかというと厳しいでしょう。お金持ちの知人や友人がいれば話は別ですが、庶民が接点を持つのはなかなか難しいです。
- 注意点 ②
富裕層の大半は、既に必要なものを持っています。買いたいものはいつでも買えるので、必要性も感じていません。目利きも厳しいです。欲しいものにはいくらでも払いますが、不要だと思えば1円も払いません。買い物に対して「シビア」なのが富裕層の特徴です。
- 注意点 ③
富裕層の中には、お金を全く使わない人、倹約家な人も多いです。メディアに出てくるお金持ちは「ごく少数」の目立たがり屋であり、多くの富裕層は、質素に暮らしています。お金を持っているからといって、高額な買い物を毎回するとは限りません。お金を使わなかったからお金「持ち」になったという人もいるという事実を知っておきましょう。
- 成功するコツ
以上の注意点を踏まえると、かなり厳しいということが分かるはずです。が、やり方はあります。富裕層向けにビジネスをやるのではなく、富裕層に「憧れている人向け」にビジネスをやるのです。その方がはるかに分母も大きく、成功する確率も高いです。
ブランド品というのは、富裕層や真のお金持ちが買っているのではありません。その層に憧れている人が買っています。どのブランドも、ロゴがデカデカと目立つ、派手なものを身に付けているのは「成金」や「自分をお金持ちに見せたい人」です。
富裕層はブランド品を選ぶ時、ひと目でそうは見えない、地味でシンプルなものを選びます。「いかにも高いものを着ているぞ」とアピールすることが、最も下品だということをよく分かっているからです。
富裕層やお金持ちとの接点は少ないかもしれませんが、富裕層やお金持ちに憧れている人なら、周りにゴロゴロいます。そういう人たちの言動や行動をよく観察して、何を求めているのかを探りましょう。
「富裕層に大人気」とか「あの海外セレブが最近身に付けている」というフレーズを女性ファッション誌でよく見かけますが、あれは庶民を騙すために使っているのです。そう考えると「戦略」が見えてきます。