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浅草芸人御用達の水口食堂【エッセイ】

浅草に芸人御用達の食堂がある。水口食堂だ。

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東洋館やフランス座、浅草演芸ホールから徒歩1分。漫才コンビの「ナイツ」は、浅草で仕事がある際は、必ず行くと言っていた。どんなところか、ずっと気になっていた。

 

前はよく通るのだが、いつも混んでいてスルーしていたのだが。先日、遂にチャンス到来。ちょっと空いてそうなので、思い切って入ってみることに。一人なので相席用の長テーブルへ案内され、すぐにおしぼりと突き出しが出てきた。早い。このスピード感がたまらない。

 

メニューは豊富にあるが、心は決めている。さば煮定食一択。何かの本か雑誌で、ここのさば煮が絶品だと読んだことがある。それに習って即決。しばし店内を観察することに。

 

イメージとは違い、中は結構広い。清潔感もあるし、何より店員さんが若い。ホールは全員女性。女将さんっぽい方(40代と思われる)を除き、みんな20代前半くらいか。

 

客層は幅広い。昼間っからお酒を飲んでいる夫婦もいるし、一人で昼食を摂っているサラリーマンもいるし、女同士でのランチ客もいる。私の目の前の老人は、かなりの常連と見た。定食を食べつつスポーツ新聞を広げ、ウーロンハイを飲んでいる。しかも、それを斜めにカクッと動かしただけで、店員さんがお代わりと察知。すぐに新しいものが出てきた。この「以心伝心」感が凄い。

 

5分ほどでさば煮定食が出てきた。見た目でもう美味しいと分かる。食べてみる。そりゃ、美味しいですよ、そんなもの。あぁたねぇ、わざわざ聞くほどのことじゃないでしょうよ。美味しいですよ、こりゃ。美味しいに決まってますよ、そんなもの。と、言いたくなるような味わい。

 

嬉しかったのが、味噌汁がものすごく「好み」だったということ。これなら毎日でも飲める。朝昼晩でも飲める。そのくらい好きな味。大粒のあさりの身を取るのも楽しい。この作業、全然飽きない。むしろ、好き。

 

隣のテーブルでは、地元の人がディープな浅草情報のやり取りを。声が大きいのでまる聞こえ。どこのお店の誰それがコロナに感染したとか、あそこはもう潰れそうだとか。そういう噂ってすぐに広まるのね〜と思いつつ、下町の怖さも実感。

 

食べ終える頃には、相席用の長テーブルには私と対面の常連さんのみ。小学生の時、給食を食べるのが遅くて、最後まで残っている子供の姿を思い出した。さっさと出るとしよう。

 

浅草のど真ん中で、さば煮定食がたった800円。メニューも豊富にあるし、これは毎日来たくなるのも納得。二階には座敷もあるとのこと。浅草の「決まり事」は、ここで話し合われているのだろうか。そんな想像も楽しめる水口食堂。女性一人でもすんなり馴染めるので、良かったらどうぞ。

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