外出が制限されている中での冬の楽しみといえば、エアコンの風を利用して、洗濯物を乾かすことに尽きる。
ある日、ふと気付いた。送風口から、下に向いて風が出ていることに。暖かい空気は軽いので、下向きに送ると自然に上に向かい、それで部屋全体が暖まる。その原理は知っていたが、利用することは考えていなかった。
送風口の下には、エアコンのリモコン置き、オートロックの解除ボタン、インターホンの受話器がある。L字型の壁なので、真っ直ぐな棒を使えば、「モロ」に風を受けれる。しかも暖かい風を。洗濯物が乾きにくいこの季節には、まさしく救世主のような存在だ。
早速キャンドゥにつっかえ棒を買いに行き、いくつかサイズがある中で、一番長いものを購入。家に帰って試してみると、まさかのぴったりサイズ。まだ半乾きの洗濯物をかけ、ハンガーを利用して、より風を効果的に受けれるように工夫した。
待つことしばし。乾いている。びっくりするくらい乾いている。乾きにくい季節なのに乾いている。あまりにも嬉しくて、三回も言ってしまった。
この日以来、洗濯物を乾かすのが楽しくて仕方ない。基本的には、乾きやすいものばかり着ているので、そこまで時間はかからないが。乾くまでの「過程」を、直で見れるのが楽しい。
グレーの服なんて、濡れているところと乾いたところの、境目がはっきり分かれていて、時間の経過と共に区切りは移動する。その移ろいは、もはやアートに近い。
ということで、寒いだけの冬にも、こんな楽しみを見つけてしまった。38歳にもなって、一体何をしてるんだと思うが。きっと48歳になっても、同じことをしている気がする。そういう自信だけは、人一倍ある。