M-1グランプリを毎年楽しみに見ているのですが、今年は高学歴な人材が目立ちました。偏差値「73」といわれる高津高校出身のさや香・新山さんと慶應義塾大学出身の令和ロマンの二人です。両者の「戦略」が明らかに違い、そこが興味深かったです。
さや香は去年を思わせるような圧巻の出来で、一本目をトップ通過します。二本目も同じようなネタでやれば、優勝できたはずです。が、そうはなりませんでした。ネタのチョイスを間違えたからです。
審査員の山田邦子さんが「全然面白くなかった」と評した「見せ算」という難解なネタを選び、これでドンズべりしました。複雑なことを複雑なまま話しても、ほとんどの人は理解できません。面白いかどうかという前に「よく分からない」と思われてしまいます。
後の配信でも言っていましたが、これをやることを2023年1月には決めていたとのこと。そこまでしてやりたいネタなので、本人は満足しているかもしれませんが、賞レースの戦い方としては疑問が残ります。
一方、令和ロマンは実にクレバーというか、戦略的だなと感じました。複数のネタを用意しておき、当日引かれるくじの順番によって、どのネタをやるかを決めるように準備していたそうです。
他のコンビは自信のあるネタを2本用意して、当日に挑んでいます。それ以上に用意していたのは令和ロマンだけでした。この時点で、差がついています。
M-1は年に一度なので、準備期間としては「一年間」あります。その間にどれだけのことができるか。結局は、この差が結果に繋がったのだと思います。
さや香の新山さんは、確かに高学歴ですが、地頭はあまり良くないのかなと感じました。以前、千鳥のノブさんが「こいつ、マジで馬鹿だから」と言っていたのを覚えているのですが、こういうところなのかなという気がします。
令和ロマンの二人は、学歴だけでなく、地頭も良いなと思いました。自分たちが売れるための「起爆剤」としてM-1優勝があり、それを達成するために何をしたら良いのかを、冷静に客観的に検討した結果、ネタを複数用意し、柔軟に対応できるようにしたのです。
玉石混交といわれる芸能界で生き残るには、運や実力はもちろんのこと、明確な「戦略」が必要になってきます。それをどこまで本気になって考えることができるか。そこが売れるか・売れないかの別れ目であり、生き残るか・消えていくかの別れ目です。
単純にお笑いコンテンツとして楽しむのも良いですが、ビジネスの参考として見ると、M-1はより楽しめます。よかったら参考にしてください。