先週、対面でお会いしたお客様との個別コンサルが終わりに近づいた頃に「何か聞いておきたいことはありますか?」と尋ねると、こんな質問を受けました。
「笹野さんと二時間近く話してみて思ったのは、とても話が上手だなということです。私は話すのが苦手というか下手なので、どうしたらそんな風にきれいな言葉で、スラスラと話せるのか、コツのようなものがあれば、ぜひ教えてほしいです」
正直に言うと、私は話し方について学んだことはありません。特に意識せず、普通に話しているだけなのですが、よく褒めてもらえます。
過去に一度、生まれ故郷である三重県で、地方局でアナウンサーをやっていた方と、一緒にセミナーをやったことがあります。「喋りのプロ」から「あれだけ間をうまく使える人は、なかなかいませんよ」と褒めてもらえました。普段から落語ばっかり聞いているので、自然とそういう間が身についたのだと思います。
ボキャブラリを増やすには、普段目にしている言葉や文章の知的レベルがどれだけ高いか、ということが重要です。賢い人が、賢い人向けに書いた文章を数多く読めば、賢い話し方が身につきます。
一方、テレビやネットの知的レベルは低いです。勉強が大好きだった父親が「テレビを見ていたらバカになる」とよく言っていましたが、その言葉の意味が今ではよく分かります。明らかにバカを対象に作っている番組も多く、ネットの「つぶやき」なんかは、それよりもっと低レベルだなと感じます。
要するに、テレビやネットばかり見ていると、あなたに「入ってくる」言葉が低レベルになり、あなたから「出てくる」言葉も低レベルになってしまうということです。
逆に、多くの人の「チェック機能」が働いている本を読めば、レベルの高い言葉が次から次へと入ってくるので、発せられる言葉も知的になります。
私の話し方のベースになっているのは、月に30〜40冊ペースの読書と、落語です。普段から本ばっかり読んで、落語ばっかり聞いていたら、勝手に話し方が褒められるようになりました。こういうのを「一挙両得」と言います。