大学生の時にアフタヌーンティー・ティールームでバイトしていたのですが、テイクアウトの販売実績が西日本で一番でした。本社から「どんな奴が売ってるんだ!?」と視察に来るほどの騒ぎにまで発展しました。
私がいたお店は繁華街にある大型店で、顧客は地元の富裕層です。今の言葉でいうなら「お金持ちマダム」でしょうか。たった一杯の紅茶を飲むためにわざわざやってくる、時間とお金に余裕のある人です。
雑貨を売るアフタヌーンティー・リビングも隣にありました。そこで何をやったかというと、まずは、リビングの店員さんと仲良くなることを考えました。
「雑貨と紅茶」や「クッキーとマグカップ」のセットでギフトにしたいというお客様が多かったので、リビングとの「共同作業」が必要です。
ティールームとリビングは隣り合ってはいますが、そこまで面識はありません。ということは、少しでも顔見知りになっておくと、優先的に声をかけられます。そうすると、売上は伸びます。
ラッキーなことに、リビングに二人も「接点」がある人物がいました。社員に姉の同級生が、アルバイトに友達の元カノがいたのです。そこを「突破口」として接触を試み、最終的には、リビングの事務所に自由に出入りできるまでになりました。
19歳で入り、22歳までいたのですが、顧客様からすると「息子」か「孫」くらいの年齢です。そんな年頃の男の子から「これ、すごく美味しいですよ」とか「僕は、こっちの方が好きです」と言われると、マダムはホイホイ買っていきます。正直に言うと「ちょろいな」と思いました。
次からは「指名買い」です。
- 前回の紅茶がとても喜ばれたから、また同じように見繕ってほしい
- リビングの商品も一緒に選んでほしい
- あなたのおすすめなら全部買う
こんなことが続くようになり、気付いたら、テイクアウト部門の売上が、西日本で一番になっていたのです。最終的には「バイトリーダー」まで務めました。「社員になってほしい」と本社の偉い人からも懇願されましたが、丁重にお断りしました。
私がやったことはシンプルです。買い手である顧客様の話をじっくり聞き、その人に対してベストなものを選んであげる。たったこれだけです。年配の女性は、清潔感のある若い男の子が「大好き」なので、その特性を把握していたことも大きいです。
基本的に、今も、やっていることはそんなに変わっていません。誰に対して売り、その人は何を求め、どうしてほしいのか。そこをとことん考え抜いているだけです。