「定年を迎える前に早期退職して起業するのはどう思いますか?」と、50代の方に相談されました。一度きりの人生です。どうしてもやりたいことがあるなら、挑戦してみるのも「アリ」じゃないでしょうか、と回答しました。
50代ということは、もうその会社に入って30年ほど経っています。やりたいこともやったし、周りの人間関係も変わらないし、社内で目立った出世も望めません。とっくに「飽き」が来ています。
とはいえ、すぐに死ぬ年齢でもありません。まだまだ人生は続きます。そんな時に、心の奥底にぼんやりとでも「一度はやってみたかった」とか「これをやっておかないと後悔する」というものがあるのなら、やってみるのも悪くないと思います。
が、大事なのはここからです。いきなり会社を辞めて、自分のやりたいことだけで、今と同じくらいの給料が得られると思わないようにしましょう。そんな「奇跡」は滅多に起こりません。珍しいからこそ、ごくたまにそんな例が、メディアで取り上げられるのです。
会社には籍を残しつつ、仕事は最低限やりつつ、時間を捻出して、自分のやりたいことを目一杯やりましょう。そこである程度の「目処」が立ってから、早期退職を考えるべきです。
勢いだけで辞めてしまい、収入が途絶え、生活費にも困るようになり、後悔する人が多いです。後先考えずに行動するからです。こういう時こそ「冷静な判断」が求められます。
イラストの仕事をやってみたいなら、ネット上で売ってみるとか、カメラマンになりたいならインスタグラムにどんどん投稿してみるとか、アクセサリーを作りたいならBASEで販売してみるとか、会社に籍を残したままでも、やり方はいくらでもあります。
そういうことをまずはやってみて、その上で辞めるか辞めないかを判断しましょう。その「順番」を逆にすると、お金に余裕が無くなり、精神的にも不安になり、にっちもさっちも行かなくなります。給料をもらいつつ、余裕のある状態でやった方が、起業の成功率は高くなります。