「笹野さんの書評ブログを読んでいると、小説をよく読まれていますが、ビジネスにどう役立つのでしょうか?」と音楽教室をやっている方に質問されました。小説には、この世のありとあらゆることが書いてあります。表も裏も。それを知っていると、ほとんどのことには対処できるようになります。
人がいかに失敗して、そこにはどういう原因や理由があり、もしそうなった場合にはどうすればいいのか。それが書いてあるのが、文学作品であり、小説です。
ビジネス書には、表の世界のことしか書けません。著者は実名で、実際に存在する企業名や商品名が出てきます。間違ったことを書いたら訴えられる可能性があるので、下手なことは書けません。どうしても「無難」な内容になってしまいます。
小説なら自由に書けます。さすがに実名は出しませんが、表も裏も書き放題です。巻末に「これはフィクションです」の一言があれば、訴えようがありません。限りなく本当の話に近いフィクションが、この世には多数存在します。
それと、人間の感情や心理について、深く学べます。人は、こういうことが起こった時、どう感じるのか。それをきっかけにどう行動し、どんな運命を辿るのか。それが小説から学べます。
ビジネスというのは、人が、人に向けて売り、人が、人から買う行為です。ということは、人間の感情や心理、行動原理が分かっていないといけません。優秀な営業マンやカリスマ経営者というのは、この部分に長けています。
- この人は、実際は何に困っているのか?
- こんな提案をしたら、どう思うか?
- 本音では、どうしてほしいのか?
このような「想像力」の有無が、ビジネスの成功を大きく左右します。
人の気持ちが分からない人には、ビジネスはできません。仮に少し売れても長続きしません。売上というのは「人の本音の集積」だからです。一回目は買ってくれても、リピートしてもらえないのは、買った時に何かしら嫌なことがあったからです。
という話をしたら、相談者は「帰りに本屋さんに寄って、小説を何冊か買います」と言っていました。東京駅の近くでお会いしたので、私もよく行く丸の内オアゾの丸善書店をおすすめしておきました。
本なんて読まなくても、ビジネスで成功する人はいます。が、あなたはそんな「天才」ではありません。その事実をしっかりと受け止め、謙虚に学び続けましょう。本から得れることは「無限」にあります。そう信じて、まずはお気に入りの一冊を選んでください。その瞬間から、あなたの人生は「好転」し始めます。