セミナーを受講してくれたお客様が、その後、個別コンサルを申し込んでくれることはよくあるのですが、そういう事例です。
この方は、代々続く呉服屋を、夫婦で経営していました。着物を着る人が減ってきている現状で、どうにかして一般層にも売れないかという相談でした。
場所は、人形町駅から明治座に向かう途中にあります。「そこを通る人が、ついでに買ってくれたら良いな」とか「ネットでアピールしたらどうにかなりませんか」と言われたのですが、正直言って厳しいだろうなと思いました。
明治座に行く人は、そこで行われる公演が目的であり、着物を着たいとは思っていません。出演者に関連するグッズなら売れるかもしれませんが、それは明治座の中で売ってます。
そういう場に着物で出かける人もいます。いますが、そういう人は、すでに家から着ているので、そのタイミングで購入するということはありません。贔屓にしているお店もあるはずです。わざわざ、知らないお店で買う理由がないのです。
ネットを使って知らない人にアピールしたいと言われましたが、そこには同じように思っている同業者がひしめき合っています。遅れて参入しても勝てる要素がないので、価格競争に陥るのがオチです。
ということを淡々と説明し、手を尽くしても無理だろうなと思ったので、正直にそう伝えました。御本人も心の底ではそう思っていたらしく「プロの方にはっきりとそういってもらえて、とてもスッキリしました」と言われました。
この方は現在、趣味を活かした教室で大活躍されています。生徒も順調に集まっているそうで、収入も安定しています。売れない呉服屋にしがみつくのではなく、売れる要素のある仕事にシフトチェンジしたことによって、幸せになれました。幸運とは、執着を手放した時に舞い込んでくるんだなということを、よく表している事例です。