「自己啓発本やビジネス書には、移動手段をタクシーにして、快適な車内で仕事をすれば年収が上がり、結果的にお金持ちになれるとよく書いてありますが、あれは本当ですか?」と、勉強熱心な30代の方に聞かれました。本当ではないでしょうね、と回答しました。
物事の順番が「逆」です。その人の年収が上がったり結果的にお金持ちになれたのは、タクシー移動したからではありません。仕事の質が高く、周りからの信頼を勝ち取り、それが継続できたから、多くのお金が流れ込んできたのです。
タクシーどうのこうのは、あくまで「おまけ」の話に過ぎず、タクシーにどれだけ乗っても、その人にとって集中しやすい環境とは限りません。渋滞に巻き込まれ、遅刻でもしたら、信頼を失います。それなら最初から電車やバスで行った方が「遅れるリスク」は減らせます。
私は滅多にタクシーに乗りません。かなりの確率で運転手にイラッとしてしまうからです。他の乗り物よりも高い料金を取っておきながら、平気で「道を知らない」とか「ナビの操作方法が分からない」と言う人が多いです。そこにお金を払う価値を感じません。
電車やバスでどこでも行ける都心部に住んでいるのと、終電がない時間まで出歩くこともないので、もう何年もタクシーには乗っていません。「乗る必要がない生活を選んでいる」と言っても良いかもしれません。
時間の正確性でいうと、やはり電車が一番です。たまに遅れることもありますが「許容範囲」です。代替手段もあるので、困ったことにはなりません。年間で何百人と待ち合わせをしますが、こちらが遅れたことは一度もありません。
もちろん、足を怪我しているとか、とても重い荷物を持っているとか、猛暑の中を延々と歩かないといけないとか、そういう理由があるのであれば、タクシー移動も悪くないと思います。
が、大した理由もなく、本にそう書いてあったからというだけでタクシー移動を積み重ねるのは「手段と目的を間違えていますよ」という話です。