「話し下手で、言いたいことがなかなか相手に伝わらないんです」という相談をよく受けます。そりゃ、そうです。自分の言いたいことなんて、滅多に相手に伝わるものではありません。そう考えると、気が楽になります。
発想を変えてみましょう。自分の考えや言いたいことが相手に伝わるには、どんな条件が必要でしょうか?次の三つは「最低でも」いるかなという気がします。
- 相手が話を理解しようとしている
- 相手が話を理解するのに必要な情報や知識を持っている
- 話し手の説明が具体的で分かりやすい
普段の会話で、ここまでの条件が揃うことはまずありません。相手はあなたの話を理解しようという気はないし、必要な情報も知識も持っていません。ここが揃っていない段階で、どれだけ上手に説明しても伝わらないでしょう。相手はそもそも「聞く気」がないのです。そんな人に懸命に伝えようとすること自体が「ナンセンス」です。
どうしても伝えたいなら、あなたの話を「理解しようという気がある人」にだけ話しましょう。そういう相手に、その話を理解するのに必要な情報や知識を教えてあげるのです。そうすると必然的に具体的で分かりやすい説明になるので、伝わりやすくなります。
私はまず、相手が理解しようという気があるかどうかを観察します。「無いな」と判断したら、そこから先は思いっきり手を抜きます。それ以上こちらが努力や工夫をしても無駄だからです。
理解しようという気はあるけど、必要な情報や知識が欠けているなと判断したら、それを補うための説明をします。単純な数値を出したり、例え話を用いて、どのくらいの理解力があるかを見極めます。そこまでやっても、伝わらないことも多いです。
コンサルタントという職業は、こういうことを日常的にやっているので、頭の回転が異常に早かったり、観察力が鋭い人が多いです。一定レベル以上の人なら、こんなことは「当たり前」なのですが、レベルの低いコンサルタントにはこういう思考がありません。だから論理的な話をせずに「感情に訴えかけましょう」ということしか言えないのです。