直接お会いした方から「育ちが良いですね」とか「もしかして、名家の生まれですか?」と言われることがよくあるのですが、決してそんなことはありません。もちろん上流階級の出身でもありません。正直に言うと「中の上」くらいです。
なぜこんな風に言われるのか、改めて思い返してみると、以下のようなことが理由だと思います。
- 背筋がピンと伸びている
- 白シャツをよく着ている
- 男なのに指先までキレイに整っている
- 傘が周りに当たらないようにまっすぐ持つ
- 靴を必ず揃える
- 食べ方がきれい
- 食べ終わった後のお皿が美しい
- 骨付きの魚を見事なくらいきれいに食べる
- ナイフとフォークの使い方が上手い
- 店員さんを呼ぶ時は目で合図する
- お店の人には丁寧な言葉で話しかける
- 注文時には「お願いします」届いたら「ありがとうございます」と必ず言う
- 洗面所を拭いてから戻ってくる
- 出先で使ったトイレは必ずササッと掃除する
- 署名用のペンは相手に向けてから渡す
- 美術館によく行っている
- ガツガツしてない
- ずっと穏やか
- 年齢のわりに落ち着いている
- 人前で足を組んだりスマホを見ない
こういう「習慣」があるので、それを見た人からすると「育ちがいい」と思われるのかもしれません。それは誤解です。ここから家族の話を正直に書きます。
私の父はものすごく育ちが悪いです。都会の下町出身ですが、一般的にマナーが悪いと言われるようなことは、全てやるタイプです。聞く耳を持たず、直す気もありません。それに対し、田舎の厳格な家庭で育った母は、いつもイライラしていました。それがとても嫌でした。
母と一緒にいる時間の方が長かったので、いつの間にか「洗脳」されていました。「マナーの悪い人間=ダメな人間」と刷り込まれたのです。これが今でも尾を引いています。
育ちの悪い父を「反面教師」にして、生きていこうと決めたのは、まだ5歳か6歳の時だったと思います。こんな振る舞いをすれば、周りの人はどんな気持ちになるのか。それを敏感に察知するような子供だったのです。
父は一代で財を成しました。実家は、大企業の役員や警察官僚、商社を始めとする一部上場企業の社員がたくさん住んでいるようなマンションです。品性がなくても、お金があれば、こんなところに住めるんだなと、金額を知った時に思いました。
小さい頃からレストランで食事をしていたので、フォーク&ナイフが使えるようになりました。魚に関しては、母があまり肉を食べない人だったので、よく食卓に上り、気付いたらきれいに食べれるようになっていました。
寿司はカウンターのお店、焼肉は神戸牛オンリーのお店しか行ったことがなく、始めて回転寿司に行った時や、食べ放題の焼肉店に行った時は、驚きの連続でした。友達に「これ、本当に食べれるの?」と言ったら笑われました。
毎年のように学校を休んで、海外旅行に行っていました。宿泊するのは「4つ星以上」と決まっていて、現地でのアテンドも含め、子供の頃は「大名旅行」しか、したことがありませんでした。
- 父の育ちやマナーが異常に悪かったこと
- 小さい頃から高級店に通っていたこと
- そういう場で大人の反応をずっと観察していたこと
これらが私の人格形成に大きく影響しています。そのせいか、人前や公共の場では、人並み以上に気を使うようになりました。その結果、冒頭のようなことを言われることが増えたのです。
改めて言いますが、私は決して上流階級の出身でも、育ちがいい訳でもありません。せいぜい「中の上」レベルです。